東アジアにおけるロシアと日本の立場の類似性
東アジアの安全保障環境における各国の立ち位置を見ると、ロシアの立場は日本の立場に類似してきていることが指摘できる。
しかしながら、ロシアは多くの点で日本とは異なる国であり、一番の違いは軍事力に対する考え方である。
GDP(兆ドル) | 人口(億人) | 兵力(万人) | |
米国 | 20.5 | 3.3 | 129.9 |
日本 | 5.0 | 1.3 | 22.4 |
韓国 | 1.6 | 0.5 | 63.0 |
GDP(兆ドル) | 人口(億人) | 兵力(万人) | |
中国 | 13.4 | 14.2 | 203.5 |
ロシア | 1.6 | 1.5 | 90 |
北朝鮮 | 0.02 | 0.3 | 119 |
2018年時点の各国の国力比較1
日本とロシアは人口はそれほど変わらないが、兵力の規模が大きく異なっている。上の表ではロシアの兵力は90万人となっているが、ロシア連邦軍以外の準軍隊と呼ばれる組織や予備役を合わせると337万人になるとも言われている2。
より公平を期すならば、日本の自衛隊の法的地位はロシアにおける準軍隊(ナショナルガードや国境軍等)と同等の位置づけにあると見ることも可能であり、仮にそうした場合、上記表における日本の「兵力」は「0」とすべきなのかもしれない。
ロシアの軍事力が大きい背景としては、国土の大きさもさることながら、軍に対する伝統的な社会の支持が大きいとも言われている3。これは兵力に比して経済規模の大きい日本とは対称的である。
こうした国の性格の違いは、政策の違いとなって表面化するものと考えられる。ロシアはこのようなハードパワーを後ろ盾として様々な政策を策定しており4、そこに注目することは、より現実的な情勢認識の一助となろう。
- グローバルノート「世界の名目GDP 国別ランキング・推移」2019年4月12日、www.globalnote.jp/post-1409.html; グローバルノート「北朝鮮のGDP(国内総生産) 統計データ」2017年、www.globalnote.jp/post-2591.html?cat_no=101; グローバルノート「世界の人口 国別ランキング・推移」2019年6月18日、www.globalnote.jp/post-1555.html; 外務省「国・地域」2019年6月17日、www.mofa.go.jp/mofaj/area/russia/index.html; 防衛省「防衛省・自衛隊の人員構成」2017年3月31日、www.mod.go.jp/j/profile/mod_sdf/kousei/。
- クリストファー・ウッディ「世界の軍事力ランキング、日本は?」ビジネス・インサイダー・ジャパン、2018年3月1日、www.businessinsider.jp/post-162818。
- Alexandr Golts, Military Reform and Militarism in Russia, 2017, pp. 283-289.
- Eugene Rumer, “The Primakov (Not Gerasimov) Doctrine in Action,” Carnegie Endowment for International Peace, June 5, 2019, carnegieendowment.org/2019/06/05/primakov-not-gerasimov-doctrine-in-action-pub-79254.